【女装事件簿】大阪一心寺連続生卵投げつけ事件
一心寺にて、女装子さんたちが
一部のノンケの方々に生卵を投げつけられるなどの
ヘイトクライムを受けた2013年頃の事件。
■事件の概要
■売り専、出会い、待ち合わせスポット一心寺周辺
事件の概要をお話する前に、
少し一心寺周辺の歴史について振り返っておきたい。
事件は大阪新世界より少し北の一心寺周辺で起こったのだが、
一心寺周辺と言えば、有名なゲイさんの出会いスポットであり、
女装業界人も出入りする場所であった。
20年ほど前にさかのぼると、
平日でも常に売り専ボーイやトランス娼婦さんがたち、
(いわゆる立ちんぼ客引き)
人々でにぎわっていた。
10年ほど前も、20年ほど前ではないものの、
出会いや待ち合わせ、売り専の立ち位置として
一心寺周辺は非常に盛り上がっていた。
たしかに一般公衆での売春勧誘は法律に違反していて、
推奨すべきものではないという前提でここからの話をする。
一心寺周辺という場所は、
天王寺駅から日本橋方面へ帰宅する以外に
使い道がなく、深夜にもなると、ノンケの人通りはなかった。
というよりも、通る理由がないのだ。
下図のオレンジ色の線が一般道路。
赤色の線が一心寺周辺の出会いスポットの道路だ。
一心寺周辺の地図 出典元:マピオンさん 一部改変
昼間は、赤色の線の道も、
天王寺動物園のお客さんや、
天王寺駅からのお客さんで人通りがあるが、
夜間になると、
天王寺動物園も閉園し、天王寺駅も
終電で人通りがなくなる。
一心寺周辺住宅民も、
オレンジ色の道で行き来できるため、
赤色の道は通らないのだ。
だから、ある種、一心寺周辺の赤色の出会いスポットは
深夜だけ独立した空間になっていたといっても過言ではない。
なので、一心寺周辺での客引きは「わかっちゃいるけど、
実際はノンケさんもいないし目をつぶっておこう」とされていた
場所だった。
そこで実際にお客さんがいるからこそ、
売り専の方々が商売をしていたので、
社会にとって「必要悪」ともいうべきものだった。
しかし、2010年代に入り、一心寺周辺は
出会いスポット、売り専スポットとして
完全に衰退する。
理由としては、
警察の巡回や監視が厳しくなったところが
最も大きいだろう。
さらには、一心寺周辺に明るい美術館のような明るい施設ができ、
ゲイさんや女装業界人の出会いスポット特有の怪しい雰囲気が
失われてしまったことも衰退に拍車をかけた。
それでも一部のゲイさんや女装業界人は
一心寺周辺でおしゃべりをしたり、
出会いや待ち合わせを続けていた。
そんな中、こういったセクシャルマイノリティを冷やかす
ノンケたちが姿を現すようになっていた。
■一心寺周辺の衰退によるひとけの減少がまねいたヘイトクライム
一時期は一心寺周辺だけで20-30人もの
ゲイさんや女装業界人がいるなど、
とにかく「ひとけ」があった一心寺周辺だが、
2010年頃からの一心寺周辺衰退とともにその「ひとけ」が急速に
なくなった。
当然、一心寺周辺が全盛を迎えていたころにも、
一心寺周辺はゲイさんや女装業界人の出会いスポットだと
いうことは一部のノンケの方々にも知られてはいたが、
その「ひとけ」の多さが、冷やかし行為やヘイトクライムの
抑止力となっていた。
(要は、ゲイさんや女装業界人に対して冷やかしたい、
罵詈雑言を浴びせたい、と思っていても、
一心寺周辺全盛時は、20-30人ものゲイさんや女装業界人が
いたので、怖くて冷やかせなかった、といった具合だ)
2010年頃からのひとけの縮小が、
当然ノンケたちの冷やかし行為やヘイトクライムの抑止力の
縮小もまねいたのだろうと思う。
そのせいで、2010年頃から一心寺周辺で
・女装子さんが一人で一心寺周辺を歩いていると、
「おいおかま」などと罵詈雑言を浴びせられた
・ゲイさん2人がおしゃべりをしていると、
ノンケの車がいきなり前にとまり、
殴られそうになった。
などなど、
しばしばヘイトクライムが起こるようになった。
そして2013年頃、度を超えたヘイトクライムが起こってしまう。
■女装子さんをターゲットに生卵を連続投げつけ
※写真と事件は関係がありません
一心寺周辺である女装子Aさん(仮名にしておきます)
が目的もなく煙草を吸っていると・・・
前から一台のワゴン車がきて・・・
窓から罵詈雑言を浴びせられたうえに・・・
生卵を10個ほど投げつけられたそうです。
その女装子Aさんは、
車が進入できない方向にあわてて走って逃げましたが、
車の中から本当に聞き捨てならないような
人格否定の罵詈雑言を浴びせられたそうです。
その女装子さんは、
それあトラウマで1か月ほど女装が
できなくなってしまいました。
それから、1週間に数回の頻度で、
ワゴン車から女装子さんに生卵が
ぶつけられるという事件が
頻発しました。
瞬く間に、その噂は広まり、
一時期、一心寺からほとんどの女装業界人が
姿を消しました。
それでもその噂を知らない女装子さんが
一心寺周辺に行き、
ひとけがない中で歩いていると、
ワゴン車が近づいてき、
人格否定の罵詈雑言を浴びせられたそうです。
罵詈雑言を軽く受け流せる方であれば不幸中の幸いですが、
GIDさんであったり、自分の性がわからず悩んでいる方が、
もしこのようなヘイトクライムを受ければ・・・
それは一生の心の傷になります。
わたしたち女装業界人は、
世間とは少し違ったことをしているだけで、
ノンケさんたちと何ら変わらない人間です。
働いて税金を納めて、
誰かを養ったり、誰かのために何かをしてあげたり、
誰かを愛したり、誰かにたよったり・・・
そんな人々を、少し世間と違うだけでヘイトし、
(ヘイトするのはかまいません。思想の自由なので。)
でも、罵詈雑言をもって傷つけたりするのは、
許しがたい行為です。
もし万が一、この記事をお読みの方で、ヘイトクライムのような思想をお持ちの
方がいれば、ぜひ、考えを改めていただければ幸いです。
■ヘイトクライムの被害者にならないために

やはり、
・夜間の単独行動をしない
・ひとけの少ない場所にはできるだけ行かない
ことが一番のヘイトクライムからの回避法だと思います。
女装業界には、武術に長けている方や、
体力が強靭な方の割合が多いですが、
一番の解決策は火種には近づかないことです。
とくに女装子さんは、
単独行動をしているときにヘイトクライムにあいやすいので、
気を付けましょう。
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![]() | この記事書いた人:栗原千秋 女装歴10年のほぼフルタイム女装子ライター。 年齢は30歳くらい♪ 座右の銘は「女装子ほど、男気を忘れず。」 好きなものは「にんにくの素揚げ」 関東在住ながら、名古屋、大阪を拠点に フリーランスで雑誌執筆などをしている。 口癖は「仕事ください♪」 |